その④ 人生丸ごと引き受ける!?ふところの深い管理組合が自慢です。

最終更新: 2020年4月10日


竹山団地16-2ブロックの写真。

竹山団地の16-2ブロックは、平成28年に管理組合を法人化して、植栽の手入れから、大規模修繕等の大きな仕事から、季節の行事やお茶会などの日常的な交流の場づくり、それから、毎月の清掃、駐車場の管理まで、暮らしに関わる幅広い業務を自分たちで分担しています。



生きていくことは、常に未知との遭遇です。引っ越してすぐは、何かと不安で、心細くなるものですが、管理組合が事務所として借りている、みんなの部屋で行われる交流会「ふれあいサロン」や、定期的な美化活動に参加してみてください。何かあったら助け合える、ゆるやかな輪の中に入ることは、暮らしの安心や豊かさにつながっています。人生いいことばかりでも、悪いことばかりでもないように、一見面倒に思われることも、参加するうちに、自分たちの暮らしを自分たちで決めてつくっていける自由と責任、その両方の素晴らしさに目覚めるはず。他では得られない、タケヤマならではの暮らしを創造していくことができるでしょう。




そもそもの始まりは、管理会社から管理業務の撤退を告げられたことからでした。その話を受けて、最初は戸惑いながらも、住民たちで話し合い、「資産は自分たちで守ろう」と覚悟を決め、平成21年に別の管理会社への委託を自分たちで決めました。その後、管理会社へ委託するという方法を止め、自主管理と法人化にいたります。この間に、団地の耐震診断や、建物診断を行い、耐震には問題ないこと、また建物全体にも大きな問題はないことを確認しました。その上で、建物の「老い」を防ぎ、より住みやすいようにと、大規模改修工事を平成22年に行っています。この時、防水や玄関のインターホンの改修、ドアの交換などとともに、外断熱化と、窓の断熱対策もしました。



実は、この大規模修繕工事は、予定より2年早めて実施されました。管理組合が実施した住民へのヒアリングで、断熱対策が必要だということはわかっており、外断熱改修をいち早く実現していた多摩ニュータウンにある南大沢の団地の視察に行くなど、内部での計画が着々と進んでいたところに、住宅エコポイント制度という国からの補助金を利用できる機会があったからです。その機を逃さず、工事時期を思いきって早め、エコポイントを活用したことで、住民の追加の金銭負担なく、住環境を改善することができたのだそうです。業者任せ、管理会社任せにしていては実現しなかったことの一つです。



管理組合理事長の稲葉壮二さんは、「工事費はね、(管理組合としては)ちょっと借金はしたのですが、住民の負担はなかったから合意形成もスムーズでしたね。断熱対策はやったほうが絶対に良いとわかっていましたし」と、穏やかな笑顔で語ります。(ちなみに、この断熱工事の効果がどれぐらいあったのかはこちらの記事へ!)


竹山団地16-2ブロックの写真。
ぱっと見では、ごく普通の団地に見えますが、スゴイ性能なんです


しかも、環境は良くなったのに、住民の修繕積立金は下がったのだとか。管理組合では、いままで外部に委託していた管理費を、より有効に使うための計画を立てています。美化活動など管理・運営に関わる仕事は、有償ボランティアと考えて、時間あたりの単価を決めて住民が担っています。ボランティアに参加した分は、1年に1度、まとめて支払われます。「一年分を集計すると、それなりの額になって返ってくるから、ちょっとしたお小遣いみたいで嬉しい」と、概ね好評です。(ちなみに、美化活動についてを取材した記事はこちらです。)



こうした団地の管理業務は、業者に依頼するのと、顔の見える範囲で分担するのとでは、同じお金でも意味合いが変わってきます。来客用の駐車場の利用料と合わせて、敷地内に置いた自動販売機からの収入も大きいと聞きました。



竹山団地16-2ブロックの写真。自動販売機
自動販売機があるから生まれる会話、風景があるかも
竹山団地16-2ブロックの写真。竹山団地16-2ブロックの住民が作った駐車場
緑が美しい、自分たちで整備した駐車場


現在検討しているのは、高齢者が安心して最後まで暮らせるようにと、外付けのエレベーターをつける工事や、階段へのリフト取り付け、電動シニアカーシェア、インターネットを介した見守りシステム導入についてです。これには、国土交通省の2019年度「マンションの管理適正化・再生推進事業」を活用しています。



「16-2ブロックの6棟は全て4階建てのエレベーターのない建物だから、階段の上り下りが負担になります。高齢者が多くなり、外出しなくなって、引きこもってしまう問題を解決するのが、この計画の大きな目的です」と理事長はおっしゃいますが、それは、ベビーカーを利用する小さな赤ちゃんを抱える若い世代にとっても大きな魅力です。



室内でのペットの飼育が全面O.K.なのも、暮らしの質を考えてのこと。禁止しても隠れて飼う人はいるのだから、むしろ解禁して動物とも仲良く暮らせる団地にしようというわけです。とはいえ、飼っていない人には、ペットの匂いや、騒音などが気になるものです。ただ禁止するのではなく、お互いが気持ちよく暮らすにはどうしたらいいかを、決められたマナーを元に、一人ひとりが考えることが求められるわけですね。(ペット飼育に関して取材した記事は、こちらをご覧ください。)



竹山団地16-2ブロックの写真。防災かまど ベンチ
住民たちのアイディアが、少しずつ形になっていく

竹山団地は、鴨居駅からバスで7、8分。竹山幼稚園前バス停を降りて、16-2ブロックに入っていくときにまず印象的なのは、建物全体が小高い丘の上にあるので、見晴らしがとてもよいこと。4階建ての棟が6棟、152戸と、小さなまとまりをもつ16-2ブロックですが、棟と棟の間には十分な距離があります。緑のある広々とした空間は、団地ならではの風景です。見晴らしのよさは、立地だけでなく、植栽の手入れの仕方にもよっています。樹木が立て込んでしまい鬱蒼として暗い、とか、近隣の部屋や棟への導線が悪い、というのは、古い団地では、ありがちな風景です。しかし、見通しが悪いと空き巣が入りやすく、人々の行き来や交流を逆に邪魔してしまうので、単純に緑が多いこと=良い環境とも言えない面があるわけです。



そこで、管理組合では、倒壊の危険がある樹木は思い切って切り、人々が集える小さな広場を点在させ、樹木の中を歩いて散歩できる小道を作り、自然にも人にもふれあいやすい環境をつくっています。小さな広場には、災害時に火を炊くための防災かまどとして、U字溝を設置しました。そこには、どんな時も、自分たちでできることはやっていこう、という意思が感じられます。



もちろん、有償ボランティアの考えや、管理の仕方など、全ての人が納得し、満足しているわけではありません。管理する役割を担って初めてわかることがあり、関わるほどに面白くなって、あれもやりたい、これもできるかも! と夢を広げていける、話し合いの土壌があるのは、素晴らしいことです。



ゆったり、広々とした場所で子育てしたい人にぴったりな竹山団地。広大な敷地内は個性豊かで、池に面した商店街があるブロック、広い公園に隣接したブロック、高層階の棟が並ぶブロックなど、その住環境は様々です。その中でも、16-2ブロックは先進的な取り組みにチャレンジしています。

ゆりかごから墓場まで、という言葉がありますが、赤ちゃん時代を過ごし、老いてまたここに戻ってくる、団地が「ふるさと」になる、そんなイメージを現実にしようとしている管理組合がここにあります。関わるみなさんの穏やかだけれど力強いパワーに触れて、取材するこちらも、明るく楽しい気持ちになりました。



取材・執筆:梅原昭子 (森ノオト http://morinooto.jp

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